カスタムGPT。──響きはカッコいい。「自分専用のAIを作れるらしい」という一文で、私はすぐに飛びついた。だって“自分専用”だよ? なんかもう、未来感すごいじゃん。…ところが、実際に触ったら未来どころか地獄の迷路だった。
設定画面を開く。項目がズラリ。「指示」「会話スタイル」「知識」「ツール」……。AIに人格を与えるどころか、自分の人格が削られていく。2時間後、「保存」ボタンがどこにあるかわからなくなって、脳がクラッシュ。翌日、同じ設定をもう一度やり直した。理由? 上書きされてなかったから。
もう一度言う。上書きされてなかったから。
途中で「これってもしかして、GPTに私がテストされてる?」って錯覚した。会話スタイルに「丁寧だがフラット」と書いたら、AIが「それはどの程度のフラットですか?」って聞いてくる。こっちが知りたいよ!って叫んだ。深夜2時に。
その合間に、Stable Diffusionの設定地獄にも突入。「バッチ回数?」「LoRA?」「ベースモデル?」──言葉の8割が初耳。プロンプトを書けば書くほど、脳がぐるぐるする。「幻想的で」「でもアニメテイストで」「しかも明るく」って言ったら、なぜか禍々しい黒髪の少年が出てきた。AIの感性ってほんと予測不能。
3日目の朝、ようやく生成が“それっぽく”なってきた。目の下にクマを抱えながら、「あれ?これちょっとカッコいいぞ」って笑った。もう完全にハイ状態。テンションの代わりに睡眠が消えた。
でも、不思議と後悔はない。なぜなら、AIに「設定を理解しました」って言われた瞬間、自分の努力がようやく認められた気がしたから。この二日半、AIと人間の境界線がちょっとだけ曖昧になった気がする。
次はどんな地獄が待ってるんだろう。……まあいいや。今度はAIに聞けばいい。「落ち着いて」って言われる前に。