「闘武祭・決勝」 ◆ 三日目の朝 三日目—— 闘武祭、最終日。 海上の闘技場は——今日も熱気に包まれていた。 四体のゴーレムが——闘技場を支え続けている。 「今日で決まるんだ……!」 グラニは——早くから席を確保していた。 フェズとチーも——隣にいる。 来賓席では—— 軍隊長が——観戦に来ていた。 傷は——だいぶ良くなっていた。 パイルとナッドも——後ろに控えている。 ◆ 決勝戦前 「皆さ〜ん! いよいよ決勝だ〜!」 グリーンの声が響いた。 「チーム1——ゴルド・ルーンとレクト・マーシン!」 「対するは——チーム2——ボルガ・フレイム!」 歓声が——闘技場を揺らした。 「これが——最後の戦いだ〜!」 「勝者には——『伝説への挑戦権』が与えられる〜!」 観客席から——驚きの声。 「昨日も言ってたやつだな」 「何なんだ、伝説への挑戦権って」 「優勝してからのお楽しみだって言ってたぞ」 ◆ 両チーム入場 闘技場に——両チームが立った。 ゴルドとレクト。 そして——ボルガ。 ゴルドの手には——古びた大剣があった。 『終焉の剣』——かつてこの島で散った英雄の遺品。 島の奥で発掘された——伝説の武器だ。 「……来たな」 ボルガが——笑った。 その手には——巨大な戦斧があった。 『灼滅の戦斧』——イグナ大陸に伝わる武神の遺物。 振るうたびに——全てを焼き尽くす。 「待ってたぞ、伝説の帰還者」 「ああ」 ゴルドも——笑い返した。 「お前とは——いつか刃を交えたいと思っていた」 「それは光栄だ」 ボルガが——戦斧を構えた。 「だが——俺は負けん」 レクトも——杖を構えた。 今日の杖は——『星詠みの杖』。 天体の力を借りる——古代の魔法杖だ。 「私も——本気を出させてもらう」 レクトの目が——光った。 「お前のような強者を相手に——手加減する気はない」 ◆ 開戦 「さあ、決勝戦です!」 ヘイタが——興奮気味に叫んだ。 「ゴルド選手の『終焉の剣』! ボルガ選手の『灼滅の戦斧』!」 「伝説の武器同士の激突です!」 「ふふっ、ヘイタくん」 先生が——身を乗り出した。 「今日も——張り切っていますわね」 「は、はい! 決勝ですから……!」 先生の胸が——ヘイタの腕に触れた。 「ちょ、ちょっと近い……!」 「あら、緊張してるの?」 先生が——微笑んだ。 「私が——リラックスさせてあげましょうか?」 「せ、先生……! 放送中ですって……!」 観客席から——笑い声が聞こえた。 「よし! 始め!」 ゴングが鳴った。 ボルガが——突進した。 「おおおおおお!!」 地面が——揺れる。 その圧力だけで——空気が震えた。 「……行くぞ」 ゴルドが——前に出た。 レクトが——後ろで杖を構える。 「——星の加護」 レクトの魔法が——ゴルドを包んだ。 ゴルドの体が——淡く光る。 「なっ……!?」 観客席から——驚きの声。 「ゴルドに——魔法をかけた……!」 「あの二人——連携してる……!」 ゴルドは——驚いていなかった。 「……悪くない」 ゴルドは——ボルガに向かって飛び出した。 ◆ 古豪の激突 ゴルドの大剣とボルガの戦斧が——ぶつかった。 衝撃波が——闘技場を揺らす。 「くっ……!」 「おっ……!」 二人は——一歩も引かない。 「流石だな……ゴルド・ルーン……!」 「お前もな……ボルガ・フレイム……!」 剣と斧が——何度も交差する。 その速さは——常人には見えない。 「す、すごい……!」 グラニは——目を見開いていた。 「あれが——古豪の戦い……!」 来賓席でも——軍隊長が息を呑んでいた。 ◆ レクトの援護 ボルガの戦斧が——ゴルドを捉えた。 「がはっ!」 ゴルドは——吹き飛ばされた。 「ゴルド!」 観客席から——悲鳴が上がる。 だが—— 「——星の矢」 レクトの魔法が——ボルガに迫った。 無数の光の矢が——降り注ぐ。 「ちっ……!」 ボルガは——戦斧で薙ぎ払った。 その隙に—— ゴルドが——立ち上がった。 「巻き沿いをねらったな!?」 「礼は後だ」 レクトも——攻撃を続ける。 「——星の鎖」 光の鎖が——ボルガの足に絡みついた。 「なっ……! 動けん……!」 「今だ!」 レクトが——叫んだ。 ゴルドが——飛び出した。 「おおおおおお!!」 ゴルドの大剣が——ボルガに向かう。 ◆ ボルガの反撃 だが——ボルガは笑った。 「甘いな!」 ボルガの体が——赤く発光した。 「炎の解放!」 爆発的な熱が——ボルガから放たれた。 光の鎖が——蒸発する。 「なっ……!」 レクトが——驚いた。 「私の魔法を——力ずくで……!」 「これが——武神派の力だ!」 『灼滅の戦斧』が——炎を纏う。 ボルガの戦斧が——ゴルドの大剣を叩き落とした。 「がっ……!」 ゴルドが——体勢を崩す。 「——星の盾」 レクトの魔法が——ゴルドの前に壁を作った。 ボルガの戦斧が——壁を砕く。 「ぐぬぬ……!」 だが——壁は、すぐに消えた。 「持たない……!」 ◆ 決着 ボルガが——ゴルドに迫った。 「終わりだ——ゴルド・ルーン!!」 『灼滅の戦斧』が——振り下ろされる。 ゴルドは——『終焉の剣』で受け止めようとした。 だが—— 剣が——砕けた。 「なっ……!」 ボルガの戦斧が——ゴルドの胸を叩いた。 「がはっ!!」 ゴルドは——地面に倒れた。 レクトも——魔力を使い果たしていた。 「くっ……」 「チーム2、勝利〜!!」 グリーンの声が響いた。 「優勝は——ボルガ・フレイム!!」 観客席が——爆発した。 「「「おおおおおおおおおおおお!!!!」」」 ◆ 握手 ボルガは——ゴルドに手を差し出した。 「いい戦いだった」 「ああ……俺の負けだ」 ゴルドは——その手を握って立ち上がった。 「次は——負けんぞ」 「楽しみにしている」 二人は——笑い合った。 ◆ グラニの感動 グラニは——涙を流していた。 「すごい……すごい……!」 「あの二人——最初は喧嘩してたのに……」 「今は——ちゃんとチームになってる……!」 フェズも——感動していた。 「最高の試合だったね……」 チーも——目を潤ませていた。 「素敵ですわ……敵同士が——仲間になるなんて……」 ◆ 伝説への挑戦権 「さぁ——優勝チームには伝説への挑戦権を授与しまーす!」 グリーンが——叫んだ。 その時——ステージに人影が現れた。 レクトだった。 大魔法使いの先生に回復魔法をかけられながら——ポーションを飲んでいる。 「おっ、もう回復できた?」 グリーンが——にやりと笑った。 「やっぱり筋肉痛は三日後に来る〜?」 「グリーン貴様……」 レクトが——睨んだ。 「もう回復した。いつでもいける」 「あっはっは〜、冗談だって〜」 ◆ 追憶の希望 「さて——今回は特別にファーニアから秘宝を借りてきました〜!」 グリーンが——杖を取り出した。 「『追憶の希望』……!」 先生が——息を呑んだ。 「あってはならないほどの秘宝の杖ですわ……」 「先生、知ってるの?」 ヘイタが——聞いた。 「この杖はね〜」 グリーンが——続けた。 「死んだ者——過去の者——散った者——そういった存在を呼ぶことができるのさ〜」 「な、なんだそれ!?」 観客席が——ざわめいた。 「その論理が破綻した存在ゆえに——その分多くの制限や返しもあるがの」 レクトが——補足した。 「だがまあ——今日は特別だ」 ◆ 召喚 「みんな驚くなよ〜!」 グリーンが——叫んだ。 レクトが——杖を構えた。 大魔法使いの先生も——力を貸す。 「——追憶の希望・発動」 島が——揺れた。 グリーンは——声を出すことを忘れるほどに驚いていた。 四体の光——いや、光とは言えないような存在の中から—— だが——一体は魔力不足だったのか——途中で消えていった。 三体が——出現した。 一体目は—— 「なっ……!」 ゴルドが——言葉を失った。 それは——全盛期のゴルドだった。 両腕がある。若い。傷も少ない。 「これが……俺の……」 「私の中の最強は——こいつだ」 レクトが——言った。 ◆ 二体の存在 そして——もう二体。 見たことのない者たち。 グリーンは——言葉を失ったままだった。 その二体が——グリーンを見た。 「……やばくね?」 グリーンが——ぽろっと呟いた。 会場にいた全員が——この二体から何も感じていなかった。 いや——感じられなかった。 存在が——あまりにも異質すぎた。 ざわつく会場。 二体は——何かを呼ぶように——無言のまま手を空に向けた。 ◆ 飛来 揺れ始める島。 そして——空から—— 存在も確認されていない——いてはならない禍々しい怪物が——飛来した。 二体の竜——いや、竜とも言えない何か。 その怪物たちが——武器を落とした。 空に向けた二体の手が——それを掴む。 一体目が掴んだのは——杖だった。 見たこともない形状——先端が渦巻き状に歪んでおり、緑と黒の光が脈動している。 宝玉のような部分には——無数の目が刻まれていた。 魔神派を極限まで突き詰めたような——禍々しい杖。 もう一体が掴んだのは——巨大な大剣だった。 刃は人の背丈を超えるほどの長さ——赤黒い金属が脈動するように光っている。 柄には無数の紋様が刻まれ——握るだけで闘気が溢れ出しそうな凶悪さ。 武神派を極限まで突き詰めたような——禍々しい剣。 一瞬で——空気が変わった。 「なっ……!」 軍隊長が——来賓席で震えた。 ゴルドも——ボルガも——多くの強者たちも——理解できなかった。 巨大な闘気——そして魔力。 人間の領域を——遥かに超えている。 グラニたちは——もう話にならなかった。 「な、なに……あれ……」 チーは——声も出せなかった。 フェズは——ただ震えていた。 島に棲む怪物たちも——怯えていた。 海上の闘技場を支えるゴーレムたちさえ——震えている。 ◆ 試合開始 グリーンは——このまま特別試合を実行するか——悩んだ。 だが—— 「……面白い」 ボルガが——笑っていた。 「これ以上ない機会だ」 『灼滅の戦斧』を——構える。 「戦わせてもらう」 闘志が——燃えている。 その時—— 「俺も行く」 ゴルドが——観客席から飛び降りた。 「なっ、ゴルド!? お前、さっき負けたばかり——」 「だから何だ」 ゴルドは——折れた『終焉の剣』の柄を握りしめていた。 「あれは俺だ。俺の全盛期——俺が超えなければならない壁だ」 「……っ!」 「おっと、それじゃ戦えないだろ〜」 グリーンが——どこからか剣を取り出した。 銀色に輝く大剣——ただの剣ではない。 強大な力が——刃から滲み出ている。 「これ使いなよ〜」 グリーンが——ゴルドに投げ渡した。 「片腕でも大丈夫〜い!」 「……ふん」 ゴルドは——剣を受け取った。 一振りで——空気が震えた。 「悪くない」 観客席が——どよめいた。 「伝説の帰還者……!」 「負けたばかりなのに……!」 そして——もう一人。 「……私も出よう」 ゼロス・ヴォイドが——静かに歩み出た。 『深淵の杖』を——構える。 「魔神派として——こんな面白い相手を見過ごすわけにはいかん」 「ゼロス……! お前まで……!」 観客席が——さらにざわめいた。 「武神派と魔神派が——共闘するのか!?」 「ありえない……!」 ボルガは——ゼロスを見た。 「……いいのか?」 「借りは作らん。私は私の意思で戦う」 ゼロスは——無表情だった。 「だが——今だけは、共通の敵がいる」 三人が——闘技場に並んだ。 ボルガ・フレイム——武神派の幹部。 ゴルド・ルーン——伝説の帰還者。 ゼロス・ヴォイド——魔神派の重鎮。 対するは—— 全盛期のゴルド。 そして——謎の二体。 三対三。 グリーンは——考えた。 (何かあれば——俺が止めればいい) (だが——この二体……) グリーンは——あえて触れなかった。 「……よし」 グリーンが——マイクを握った。 「武神派・魔神派・伝説——夢の共闘だ〜!」 「特別試合——開始〜!」 ゴングが——鳴った。 ——次回へ続く