第33話 「神の遊戯・終幕」 ◆ 挑発 「なら——試してやろう」 杖を持つ者が——グリーンに向かって一歩踏み出した。 大剣を持つ者も——ゆっくりと動き出す。 グリーンは—— 一瞬——身構えそうになった。 だが—— 「——待てよ」 ボルガが——二体の前に立ちはだかった。 「低レベルだと——言ったな」 その声は——怒りで震えていた。 「俺たちを——舐めるな」 三人が——同時に動いた。 ◆ 激突 「おおおおおお!!」 ボルガが——二体に向かって突進した。 『業火の拳甲』が——最大の炎を纏う。 ゴルドの『断絶ノ太刀』が——一閃する。 ゼロスの魔力が——放たれる。 三人の最大攻撃が——二体を襲った。 杖を持つ者は——杖を振った。 ボルガの炎を——弾き返す。 大剣を持つ者は——剣を振った。 ゴルドの刃を——受け止める。 「——グリーンと遊ぼうかと思っていたんだがな」 杖を持つ者が——呟いた。 「まあいい——お前たちで遊んでやろう」 ◆ 反撃 その時—— 二体が——初めて攻撃に転じた。 大剣を持つ者が——剣を振り下ろした。 ボルガは——咄嗟に腕で受けた。 「ぐあっ……!」 吹き飛ばされる。 地面を——何度も転がった。 杖を持つ者が——杖を向けた。 ゼロスと同じ——魔力弾が放たれる。 だが——その威力は、ゼロスの何倍も強かった。 「くっ……! 俺と同じ魔法……!?」 「ぐうっ……!」 二人も——弾き飛ばされた。 「なんだ……この力は……!」 ボルガが——立ち上がろうとした。 だが——体が動かない。 「さっきまでと——全然違う……!」 ゴルドも——膝をついていた。 「遊んでいたのか……あいつら……」 ◆ 観客席 観客席からは——何が起きているか、分からなかった。 声は——聞こえない。 ただ——激しい戦いが続いているように見えた。 「すごい……! どうなってるんだ……!」 「あの二体——強すぎる……!」 グラニも——目を離せなかった。 (何が起きてるんだ……?) (あの三人が——押されてる……) チーは——怖くて目を閉じていた。 フェズは——冷静に戦況を分析しようとしていた。 だが——理解できなかった。 あまりにも——次元が違いすぎた。 ◆ 圧倒 試合現場では—— 三人が——完全に押されていた。 ボルガの拳は——届かない。 ゴルドの刃は——受け止められる。 ゼロスの魔法は——弾かれる。 そして——二体の攻撃が、容赦なく三人を襲う。 「がはっ……!」 「ぐっ……!」 「くっ……!」 三人は——何度も吹き飛ばされた。 何度も——地面に叩きつけられた。 だが——立ち上がった。 「まだだ……!」 ボルガが——血を吐きながら言った。 「まだ——終わってない……!」 だが——限界だった。 三人は——ついに動けなくなった。 地面に——倒れ伏す。 二体は——三人を見下ろした。 「——つまらん」 杖を持つ者が——呟いた。 「やはり——低レベルだ」 ◆ 試合終了 グリーンが——闘技場に降りた。 「特別試合——終了〜!」 その声が——会場に響く。 観客席は——カオスな状態だった。 恐怖と興奮が——入り混じっている。 「すごい試合だった……!」 「あの二体——何者なんだ……!」 「ボルガたちが——負けた……!?」 グリーンは——ゼロスに近づいた。 「ゼロス〜、もう追憶の魔法——解いていいよ〜」 ゼロスは——悔しそうに歯を食いしばった。 「……分かった」 だが—— ◆ 杖を持つ者 「グリーン」 杖を持つ者が——口を開いた。 「そんなことさせると思うか?」 杖を持つ者が——杖を掲げた。 何かを——唱え始める。 二体が——少し輝き始めた。 「——マジか」 グリーンの顔が——初めて驚きに変わった。 「ヤベッ——」 だが——遅かった。 ◆ 去り際 大剣を持つ者が——ボルガたちを見下ろした。 「端にいる」 その言葉だけを——残して。 二体は——空を見上げた。 二体の竜が——降りてくる。 二体は——竜に乗った。 そして——消えていった。 消える瞬間—— グラニは——一瞬、大剣を持つ者と目が合った気がした。 「——っ」 心臓が——止まりそうになった。 だが——すぐに、二体は消えた。 竜と共に——空へ。 ◆ 残されたもの グリーンは——呆然としていた。 「あー……まじかー……」 頭を抱える。 「やべーなー……」 だが——観客席は、大盛り上がりだった。 何が起きたのか——分かっていない。 二体が——逃げたように見えたのかもしれない。 「勝った……のか……?」 「ボルガたちが——追い払った……!?」 「すげえ試合だった……!」 歓声が——会場を包む。 グラニも——とりあえず安堵した。 「終わった……のかな……」 チーも——目を開けた。 「怖かったですわ……」 フェズも——息を吐いた。 「すごい試合だった……勉強になった……」 三人は——互いの手を握った。 恐怖から——解放された安堵。 そして——強者たちの戦いを見た、興奮。 ◆ 闘武祭・閉幕 闘武祭は——閉幕した。 表彰式は——簡略化された。 ボルガ、ゴルド、ゼロス——三人は、医務室に運ばれた。 だが——命に別状はなかった。 グリーンは——表向きは笑顔だった。 「いやー、すごい試合だったね〜」 「みんな——お疲れ様〜」 だが——その表情の奥には、笑顔とは似つかない影があった。 ◆ 夜の宴 その夜—— 双極島の街は——宴で盛り上がっていた。 闘武祭の興奮が——まだ冷めていない。 「すごい試合だったな!」 「あの二体——何者だったんだ!」 「ボルガたちが戦ったんだぞ!」 酒場では——冒険者たちが、語り合っていた。 島民たちも——久しぶりの大イベントに、浮かれていた。 ◆ 医務室 一方——医務室では。 ゼロスが——ベッドに横たわっていた。 体中に——包帯が巻かれている。 だが——意識はあった。 「……くそ」 悔しさが——滲み出ていた。 「あれほどの差があるとは……」 ゴルドも——隣のベッドにいた。 『断絶ノ太刀』を——握りしめている。 「……グリーン」 「あいつ——何を知っている」 「あの二体と——どういう関係なんだ」 ボルガは——ベッドの上で、天井を見上げていた。 「……弱かった」 拳を——握りしめる。 「俺は——弱かった」 悔しさが——全身を支配していた。 「もっと——強くならねば」 ◆ グリーンの憂鬱 その頃——グリーンは、一人で夜空を見上げていた。 頭を抱える。 ため息。 また頭を抱える。 ふと——目が輝く。 何かを思いついたように——顔を上げる。 だが——すぐに表情が曇る。 また頭を抱える。 深いため息。 再び——目が輝く。 今度は両手を握りしめ——何かに気づいたように顔を上げる。 しかし——数秒後、肩を落とす。 三度——頭を抱える。 その繰り返しが——しばらく続いた。 ◆ 月夜 双極島の夜は——更けていく。 宴の喧騒が——遠くに聞こえる。 月明かりが——島を照らしている。 闘武祭は——終わった。 だが——何かが、始まろうとしていた。 グラニは——宿の窓から、月を見上げていた。 「すごい一日だったな……」 チーとフェズは——すでに眠っていた。 グラニだけが——起きていた。 (あの二体……何者だったんだろう……) (グリーンさん……何か知ってるのかな……) (そして——あの一瞬、目が合った気がした……) グラニは——答えを持っていなかった。 だが——何かが変わった気がした。 この島で——何かが動き始めた気がした。 ——次回へ続く