# 第12章 収穫 --- ## 収穫の朝 夏の朝。 人間の足音が畑に近づいてきた。 手が伸び、トマトがもぎ取られた。 キュウリが引き抜かれ、ナスが摘み取られた。 ジャガイモの土がスコップで掘り返され、ゴロゴロと転がり出た。 --- ## カゴの中 収穫された野菜たちは、カゴの中に並べられた。 トマト、キュウリ、ナス、ジャガイモ。 太陽を浴びて輝いている。 --- ## 台所 野菜たちは台所に運ばれた。 トマトは洗われ、スライスされた。 キュウリは塩もみされた。 ナスは焼かれ、ジャガイモは茹でられた。 --- ## 食卓 夏野菜のサラダ。 焼きナス。 ポテトサラダ。 家族が笑顔で食卓を囲み、野菜たちを美味しそうに食べていた。 --- ## 畑の残り 畑には、まだ若い野菜たちが残っていた。 次の収穫を待ちながら、太陽を浴びている。 夏はまだ続く。 --- --- --- ## 玉座の間 星々の光が床にこぼれる、ひどく広い間。 宙に浮かぶ光の窓には、畑の映像が流れていた。 太陽。野菜。虫。水やり。収穫。料理。 それを見つめていた四人の子どもたちは——沈黙していた。 長い、長い沈黙。 長女が最初に口を開いた。 「……なにこれ」 長男が顔を手で覆いながら言った。 「野菜だった……」 末子は肩を震わせながら言葉を絞り出した。 「なんとも……兄様……野菜でした……」 三人とも、笑いをこらえていた。 長女がついに吹き出した。 「なんもしゃべりもないし! 野菜眺めてたほんわか真夏の思い出ムービーじゃない!?」 長男も笑いをこらえきれずに震えている。 「い、いや……美しい映像だったとは思う……思うが……」 「野菜でしたね」 末子が冷静に言い放った。 --- ## 次男の反応 次男は——笑っていた。 「あれ〜!? めっちゃシュールな世界になったね!」 「シュールどころじゃないわよ!」 長女が叫んだ。 次男は頭をかきながら言った。 「いやあ、野菜って意外と喋んないんだなあ……てへ」 「当たり前でしょ!!」 「ちょっとリトライさせて! 次はもっと——」 その時。 背後で、光が灯った。 --- ## 帰還 振り向くと、一人の男が姿を現しつつあった。 タキシードではない、土まみれの姿。 ジャガイモのような、丸っこい顔。 父が——戻ってきた。 「ただい——」 その瞬間。 次男は両手を広げた。 **「——Reiage(レイアージュ)!」** 光が父を包み込み、その姿が再び消えていく。 「ちょ、待——」 父の声は、光の中に吸い込まれていった。 --- ## 沈黙 長男が呆然と言った。 「……今、父上を送り返したのか?」 「うん!」 次男はきらきらした目で答えた。 「次こそ楽しいやつにするから!」 長女が頭を抱えた。 「感想戦は!?」 「後で! まとめてやる!」 末子が肩をすくめて笑った。 「……次男らしいですね」 --- **(第13章へつづく)**